
この章で得られる2つのこと。
・代表的な3つの断り文句を切り返しトークで克服。
・卑しい発言にも”瞬時に切り返しトーク”が出来るようになる。
営業が顧客に対して営業トークをしている際に必ずと言っていいほど、3つの断り文句が出現する。
「断り文句を綺麗に切り返し出来るか否か」が勝負の分かれ目と言っていいほどである。
ぜひ顧客の嘘を見抜き、切り返しトークで契約を勝ち取ってもらいたい。
本章は2部構成。
①代表的な3つの断り文句の解説
②出鼻を挫かれる発言にも切り返しトークで撃退
それでは早速みていこう。
3大断り文句を解剖!切り返しトークで圧巻せよ!
顧客の断り文句の代表例が3つある。
①お金がない
②他社商品で決めている
③家庭に持ち帰って検討する
どの業界でもお客様が不安を抱き、決めかねている時に発する断り文句である。
この代表的な3つの断り文句を切り返しトークで切り崩さなければならない。
なぜなら湯水の如く営業マンの手から顧客が離れていくからだ。
だからこそ本章ではこの3つに焦点を当てて解説していく。
分かりやすく解説しているので、あっという間に読み進めることが出来るだろう。
①「お金がない!」と言われた場合の営業マンの切り返しトーク
顧客の「お金がない!」をまともに鵜呑みにしてはいけない。
本当にお金がない人は、そもそもあなたの商品を検討すらしないことを認識しよう。
お客様は「お金がない!」と言う割に家族旅行に行ったりしている。
新しい車を買い替えたり、無駄なダイエット器具まで買ったりしている。
その状態でも「お金がない!」と営業マンに対して断りトークをする理由は何だろうか。
その答えは、お客様の中でその商品の優先順位が低いだけなのである。
営業マンが顧客のニーズをヒアリングで引き出さずに、無鉄砲な提案を顧客にしても響くはずはない。
つまり切り返しトークの前にヒアリング力が営業マンには必須なのである。
きちんとした顧客のニーズが分からないまま、商品を提案しても顧客の購買意欲は湧かないのである。
営業の基礎となるヒアリングのコツはこちらにまとめた。
まずはあなたの営業ヒアリング力を上げてから、具体的な切り返しトークの章に進んでほしい。
実例!お金がない人に対する切り返しトーク術
私は住宅営業をしているので、住宅営業での具体例を話してみたいと思う。
顧客:「お金がなくて…3,000万円の大金は払えないです」
営業:「確かに3,000万円は大金です。○○さんの現在の家賃はいくらなのですか?」
顧客:「月々6万円ちょっとです。」
営業:「月々6万円ちょっととボーナス8万円で3,000万円のお支払いは可能です!」
顧客:「あ、払えるのですね!あとはもう少し駅が近ければ嬉しいんですよね!」
これは実際の顧客との会話の一部始終である。
この切り返しトークのポイントはたった1つである。
■3,000万円という大きな金額で話を進めるのではなく、具体的に月々に落とし込んで話した点である。
現在と家賃が変わらない提案が出来たとすれば、ここで切り返しトークは終了となる。
だが、最後の文章に注目して欲しい。
「あとはもう少し駅が近ければ嬉しいんですよね」
この言葉を言いにくかった為に、お客様は「わざわざお金がない」という嘘をついたのだ。
つまり先ほども話したとおり”ヒアリング力の甘さ”が断り文句を招いているのである。
もしきちんとヒアリングが出来てさえいれば、顧客のニーズに合った提案が可能となる。
それと同時に顧客の購買意欲の優先順位があがるのである。
売れる営業マンは切り返しトークの前のヒアリング能力もずば抜けて上手。
あなたにもヒアリング力をいち早く身に付けてもらいたい。
②「他社の商品で決めている」は嘘!最強の切り返しトークで圧巻せよ
そもそも他社商品で決めている人が、わざわざ貴重な時間を割いてまで、あなたの話を聞いていること自体が不思議だと感じなければいけない。
「他社の商品で決めている」という断り文句の本質は一体なんだろうか。
比較検討がめんどくさいだけである。
「比較するのが面倒だし、大手のあそこの商品だったら間違いないだろう」という考えの方が非常に多かった。
この断り文句の人に一番効く切り返しトークがある。
『本当にそちらの商品で良いのですか?詳しく調べた上でのご決断なら問題ないと思います』
めんどくさいと感じているお客様に絶大的な効果を発揮する切り返しトークである。
なぜ絶大的な効果を発揮する切り返しトークなのか
下記のように感じた人に使うから、効果が高い。
・「他社商品で決めている!」と言った割に、商品に詳しくない。
・「知り合いに全て一任している」という人。
・「大手だから安心、大手は素晴らしい」と”大手”を連呼する人。
会話の中でこのような発言が見えたら、このフレーズは絶大的な効果を発揮する。
『本当にそちらの商品で良いのですか?詳しく調べた上でのご決断なら問題ないと思います』
なぜなら、比較検討がメンドクサイ人達が発言するキーワードだからである。
この発言を聞いた瞬間に、上記の切り返しトークをしてみてほしい。
その営業マンの発言で、お客様の心の中に少しの疑心の種が植えつけられる。
その不安の種が成長したら、必ず営業マンのあなたの元に相談にくるだろう。
心理学を使った切り返しトークを愛用してほしい。
③家庭に持ち帰る検討も、嘘!これこそ王道の断り文句だ
この断り文句も嘘である。
この発言の本質は、”営業マンのあなたの説明では買うまでには至らなかった”という意味である。
つまり営業マンが目の前の顧客の購買意欲を上げることに失敗した際に頂ける発言なのだ。
営業マンならばこの発言を言われる前にクロージングをして欲しい。
お客様が求めるモノと営業マンが与えられるモノが一致した時に初めてご契約の道が見えてくる。
だからこそ、徹底したヒアリング能力が必要なのである。
先ほどのヒアリングのコツを見て頂ければ一発で理解できる。
まずは切り返しトークの前にヒアリングのコツをみてもらいたい。
家庭に持ち帰ると言われたら、この切り返しトークで対応しよう
「家庭に持ち帰って検討します」と言われたら、90%以上の営業はそのまま見送ることになるだろう。
だが残り1割の売れる営業マンは、指をくわえたままで見送ることは決してない。
売れる営業マンは必ず2つすることがある。
・どの点が持ち帰る内容なのか
・次回のアポイントを必ず取る
まず顧客が持ち帰るべき内容を”あなたがきちんと把握しているか否か”がとても重要なのである。
先ほどのヒアリングのコツもそうだったが、”相手が何で悩んでいるか分からない状態”で家に帰してしまってはゲームオーバーである。
もう二度とお客様からは連絡は来ないだろう。
きちんと顧客が何で悩んでいるかをヒアリングした後に、次回のアポイントを取るのだ。
次回のアポイントの内容は、顧客が悩んでいる点についての打合せである。
きちんとお客様に明示するのが好ましい。
営業ならば”検討させたまま、帰らせてはいけない”のである。
宿題を自身で作って提案するのが、営業の仕事なのだ。
出鼻を挫かれる発言にも切り返しトークで撃退!
いきなりだが、リアルであった出来事を冒頭から始める。
営業:「今回の新商品をご説明させて頂きたいと思います。それでは、スクリー」
取引先:「いや、前回もそうだがお宅の商品にいい印象は持ってないし、メリットもいまいち分からなかったんだよね」
営業:「…えぇ(心の声:まだ説明してないだろ、説明聞いてから言えよ)まだ説明していないので、まずは聞いてみてください。それではスクリーンをご覧ください。」
プレゼンするぞ!と気合をいれた瞬間に出鼻を挫かれてしまい、営業プレゼンも自信がなくなってしまう経験はないだろうか。
心のない声によって言葉に詰まり、聞いてもらうのが精一杯なことはないだろうか。
心のない声を投げかけてくる人の気持ちも考えた上で、切り返しトークをあなたには身に付けて欲しい。
切り返しトークのコツ!出鼻を挫かれない為の営業プレゼンとは?
とても簡単なコツを一つご紹介しよう。
先の例を取り上げて説明する。
「今回の新商品をご説明させて頂きたいと思います。それでは、スクリー」
「いや、前回もそうだがお宅の商品にいい印象は持ってないし、メリットもいまいち分からなかったんだよね。」
㌽受け止めて、発言した人の言葉に+αで返してみよう。
「①申し訳ありません。前回は深く反省しております。もちろん今回のプレゼン自体も、②私の話を鵜呑みにする必要はありません。③どうぞ疑って聞いてみてください。疑いながら聞いてみてください。ただ、④御社にメリットがあるか、ないかを聞いてください。」
まずは自身を持って、発言することが一つのポイント。
それでは流れを解説していくことにする
①ネガティブな態度を否定しない。
②あえて良い印象を持っていない相手に、その下をくぐるように自分の事を下げていう。
③疑ってでも良いから、聞いて欲しいという願望を伝える。
④最後に”ポジティブな姿勢”で話を終える。
この4ステップを踏むことで、取引先や顧客のネガティブな姿勢をニュートラルな姿勢に変えて、さらに最後にはポジティブな姿勢に整えていく。
こうすることで、相手の心をスムーズに誘導することが可能となる。
これで心のない声に対して、切り返しトークが出来るようになる。
それでは少し詳しく掘り下げて話をしていこう。
具体的に解説!卑しい発言にテキメン効果がある切り返しトーク術
ここがこの章の一番のポイントである。
③どうぞ疑って聞いてみてください。疑いながら聞いてみてください。
顧客の印象が悪いのは理解できた上で、まずその評価を”自分から告白してしまう”ことが1つ目のポイント。
2つ目のポイントは、自分で言った低い評価とあなたが相手に求めていることを載せて話すこと。
つまり、『疑う』+α(聞いて欲しい願望)を上乗せした状態で、顧客に投げ返すのである。
この+αの凄いところは「どうぞ疑ってください」と聞いた人はあなたの話を疑って聞くだろう。
例え疑って聞いたとしても『あなたの言った通り』に”疑ってあなたの話を聞くこと”になる。
相手は意識的に疑いながらも、潜在的では「あなたの言ったことに従ってしまう」ということなのだ。
相手が聞く体制に入ったところで、④番の登場である。
④御社にメリットがあるか、ないかを聞いてください。
聞く体制に入った相手は、自然に『自分にとってプラスになるものを探そうとする』ようになる。
知らぬ間にどんどん”あなたの言った通り”になる技術なのである。
大切なので重複するが、まずは顧客の印象を自分で告白した上で、+α(自分の願望をMIX)させる。その上で『ポジティブな提案』で締めくくるのだ。
最初のうちは瞬時に出てこないだろう。
何でもそうだが、量をこなすようになると自然に使えるようになる。
今後、あなたの人生で嫌なことをストレートに言ってくる人がいるだろう。
その時にサラッと切り返しトークが炸裂したあなたがいたら、どれだけカッコいいだろうか。
そんな瞬間を愉しみにしている。
秀吉