
じつに今の詐欺はとても巧妙な営業トークを用いて商品を売っていく。
そのへんの営業マンに聞かせたいくらい流暢な説明をするのが特徴。
「営業と詐欺は紙一重だ」と言われるが、本当にその通りだと感じる。
現役営業マンの私が「これは騙される人、多いわ…」と絶句するほどの営業力である。
本章では営業と詐欺の違いを解説する。
結果として詐欺の手法と傾向を掴み、営業の力が強い人達から身を守ることができる。
もちろん、あなたが営業職ならば「こういうトークは警戒心を抱かせてしまうんだな」と納得することができる。つまり営業マンは「営業トーク」の一線を越えてはならない。きちんとした営業力を身につけることで、正しく営業を使うこともできる上に自分の身も守ることもできる。
それでは現役トップ営業マンのリアルな体験と詐欺についての考察を読んで頂きたい。
Contents
そもそも「営業と詐欺の違い」は?紙一重?
そもそも営業と詐欺は紙一重なのか
営業は顧客の購買意欲を上げて商品の契約を結ぶことが仕事である。
購買意欲を上げる導入部分の「顧客の懐に入り込む」のをテクニックを持つ営業マンは売れる。
実際に詐欺行為を実践する人達も相当に顧客の懐に入り込むのがうまい。
つまりテクニック部分では営業も詐欺も変わらないのが現実である。
トーク力があればお客様との信頼関係を積み重ねることができる。
その先に悪徳商品を売りつけるか、きちんとした商品を買って頂くか、の差だけなのだ。
本当にやっていることは紙一重のように感じる。
あとは売り手の「マインド」が何より大事になってくる。
刑法と民法でみる詐欺とは?
「うまい話にのせられた…」と後悔する。その後、詐欺だと分かる。
ただ詐欺とは何か、を具体的に説明できる人はどれほどいるだろうか。
ちなみに詐欺は2種類の刑法と民法に分かれる。
・刑法~他人を欺罔し錯誤に陥れさせ、財物を交付させるか、または、財産上不法の利益を得ることによって成立する犯罪 (刑法246条)
・民法~人を欺罔(ぎもう:人をあざむき、だますこと)して錯誤に陥れること。詐欺による意思表示は、その意思の形成過程に瑕疵があるため取り消し得るものとされる。
この2つの違いは「騙す目的が金目の物か否か」の差である。
騙すだけだと民法、騙した上で金銭が絡むと刑法と覚えると簡単。
つまり【騙す×お金】の2つの条件が揃った時に刑罰に罰せられる詐欺行為といわれる。
営業が詐欺にならないために注意するポイント
営業が詐欺にならないために気を付けるべきポイント
「100%この土地は値上がりします!」と不透明な将来の事実を断定的に言い切ると法的問題になる可能性が高い。
自殺した建物を知らないふりをして売るのも詐欺に該当する可能性が極めて高い。
つまり虚偽の説明や重要な事実を知りながらあえて告知しないことは非常に危険な行為である。
「絶対」「間違いない」「100%」という言葉を意図的に使い、商品を売り上げるのは詐欺。
売上欲しさに言ってはいけないワードである。
営業が詐欺と言われない為の商品説明とは?
例えば「このサプリを飲むことで肌荒れが完治します」と説明。
「肌荒れが完治」という具体的な証拠があればOK。
だが具体的な証拠がなければOUT。
大事なので重複するが「断定的に証拠もナシ」に説明して契約を結ぶのはいけないことなのである。
ただ最近の詐欺を行う人達は営業を勉強していて下記の言い回しをするようになった。
「このサプリを使った友人や○○の芸能人知っていますか?有名なあの人も治ったと言っている商品なんですよ」と表現すると”感想”を伝えているので詐欺にはならない。
つまり営業と詐欺は本当に紙一重。だからこそ使い手の正しいマインドが必要。
だが元来、詐欺行為を働く人に正常なマインドはない。
だからこそ下記の要点をまとめた。
【詐欺を見破る5つのポイント】
・資料は出さずにパソコンにて説明
・エビデンス(証拠)と連発してくる
・厚生労働省や経済産業省を連発
・スーツが派手なブランド品
・雨でも降っていたのか?という髪型
この特徴に該当する人からは商品を勧められたら注意しよう。
「自分も買っているので大丈夫」という営業詐欺
不動産会社の営業マンで「私も3階建てのRCマンションを購入しています」と言ってリスクの説明なしにメリットだけ伝えて売買する行為は消費者契約法(4条2項)に該当する。
つまり契約を事後に取り消すことができる。
「利回り○○万円は確実です。私も購入していますから間違いないです」と言ってはいけないということだ。
「当たり前だろ」と思った人もいるかもしれない。
ただコロナ期間で冷静な判断力が欠いた状態や、ご高齢者に売りつける悪徳詐欺営業は0ではない。
念のため、お伝えしておくが「私は絶対に騙されない!」と思っている人が一番あぶない。
詐欺師たちは傲慢な脇の甘い人を標的にする。
なぜなら傲慢な人ほど一度でも懐に入り込めば”圧倒的な信頼”を勝ち得ることを知っているからだ。
見栄っ張り、傲慢、勉強不足な人は本当に騙されやすい。
営業する側もされる側も本当に気を付けてほしい点である。
営業力を用いた詐欺案件の実体験
【実体験】一向に出てこないエビデンス(証拠)詐欺営業
コロナが流行している2020年。
会いたくもなかったが、有力なコネを使われて会わざる負えない状況に次亜塩素酸水の噴射機を販売する営業と出逢った。
一台噴射機を300万円で販売しているという。
中国から噴射機を輸入していてシンガポールにも卸していて、日本では唯一の正式な代理店と話す営業トークは流暢だった。
「どこにも設置できる噴射機は需要が高いです。病院への導入も最終段階まできています。その上、コロナに本当に効くというエビデンスも来週には研究データーをお渡しできます。エビデンスは揃っています。ただ都道府県に1つずつしか卸さないのでロットで買って頂くのが最大のデメリットでもあり、先駆者の特権でもあります」とペラペラと話を繰り広げていた。
実際に私自身が経済産業省のHPからPDFで印刷した「次亜塩素酸水を、まわりに人がいる中で空間噴霧することはお勧めできない」文章を提出した。
その上で外置きの設置器具だったので「北海道の雪国に対応するものなのか」を聞いた。
すると切り返しトークが「お買い求め頂くまでにはその点も解決します」と返ってきた。
私は「先ほどお話された病院の情報とコロナに効くというエビデンス(証拠)も合わせて来週までに頂きたいです」と伝えた。
その後、再度訪問してきた詐欺まがいの営業マンは”何事もなかったように”全く違ったキャンピングカーの商品を進めてきたのだ。
その人曰く「ハイエースを改造したキャンピングカーで1,000万円で買って、1,200万円で売れる」という話だった。
ちょうどコロナの影響で密集しないキャンプ人気に火がついたタイミングだった。
あとでこの者の素性を徹底的に調べたのだが「元半グレ」だったことが分かった。
こういう類の人たちの魂胆は、売ってしまえば勝ち!である。
売り逃げで被害を受けた人たちは山ほどいる。
だからこそ今一度、相手の発言の証拠をきちんと押さえることが大切。
この詐欺まがいの人達の営業トークは「○○の段階まで来ています」や「○○日にはエビデンスが揃います」といった”現状揃っていない発言”ばかりである。
きちんと相手の話を精査して興奮せず聴くと「まだ何も揃っていない、揃いそうな話ばかり」だと気付く。
儲け話や先駆者の特権に弱い人間の脇の甘さを衝くからタチが悪い。
ぜひ冷静な目で、冷静な判断をちゃんとしてほしい。
その判断があなたの身を守ることになる。
最後に:なぜ詐欺まがい人達と会ったのか
実はある尊敬する著者が「人生で一度は詐欺師集団と会うべきだ」と本に記載してあったからだ。
確かに手法を学ぶことができた上に”詐欺のニオイ”を嗅ぎ分ける練習になった。
なにより時代の流れに合った商品提供とお金への執着を学ぶことができた。
その上「私に売り込めない」と分かると品を変えて挑戦して、即撤退。
嗅覚がハイエナ並みだった。
詐欺まがいな行為は最低だが「もっと貪欲にアンテナを張った上で正しい営業活動をしよう」思ったキッカケだった。
追伸
正しい営業を学びたい方はコチラを参考にしてほしい。
営業のセンスを磨けば詐欺師たちを圧倒できるうえに自身の身を守る術にもなる。